ヒクイナ [緋水鶏]
Zapornia fusca
戸を叩くような鳴き声で古典文学にも登場する赤い水鳥
ヒクイナは、ツル目クイナ科ヒメクイナ属に属する水辺の鳥です。和名は「緋(ひ)のように赤いクイナ」に由来し、燃えるような赤褐色の体が特徴です。古くは「水鶏(くひな)」と呼ばれ、連続して戸を叩くように聞こえる独特の鳴き声は「水鶏たたく」として古来親しまれてきました。源氏物語や徒然草、松尾芭蕉の句にも登場するなど、日本の文学に深く根ざした鳥です。小学唱歌「夏は来ぬ」に登場する水鶏もヒクイナのことだといわれています。
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分類
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英名Ruddy-breasted Crake
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大きさ全長約23cm
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羽の色
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寿命野生下で推定5-8年
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保全状況環境省レッドリストでは「準絶滅危惧(NT)」に指定
中国東部、台湾、日本(北海道から九州)などで繁殖します。冬季にはインドシナ半島、中国南部、日本の本州中部以南へ南下して越冬します。亜種リュウキュウヒクイナは南西諸島に留鳥として生息しています。
湖沼、湿地、河川、水田など水辺の草むらに生息します。近くに水辺のある茂みを好み、小さな水路や舗装された水位の低い川の茂みでも見られます。
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行動・習性
非常に警戒心が強く、歩くときは両足を交互に動かして首を前に伸ばすように体を低くし、短い尾羽を常にピクピクと上下させています。危険を感じるとすぐに草むらに駆け込んで隠れます。縄張り意識が強く、繁殖期には特に活発に鳴きます。泳いだり潜ったりすることもあります。
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さえずり
「コッ、コッ、コッ」あるいは「クォン、クォン、クォン」と鳴き、次第にテンポが速くなります。この鳴き声は主に夕方から夜にかけて聞かれ、古くから「クイナの戸たたき」として親しまれてきました。繁殖期の早朝と夜によく聞こえます。警戒時には「ケレケレケレ」と鳴きます。
肉食性が強い雑食性で、昆虫、魚類、甲殻類、軟体動物、カエルなどを水辺の草むらで探して食べます。秋にはタデ科のミゾソバの花をつまんで食べる姿も観察されています。
繁殖期は5月~8月です。水辺の茂みや低い木の上にヨシなどを組み合わせて皿状の巣を作ります。4~9個の卵を産み、オスとメスが交代で約20日間抱卵します。ヒナは早成性で、孵化後すぐに歩き回ることができます。