ルリカケス [瑠璃懸巣]
Garrulus lidthi
奄美の森に輝く瑠璃色の宝石
スズメ目カラス科に属する日本固有種で、奄美大島・加計呂麻島・請島にのみ生息しています。国の天然記念物に指定され、鹿児島県の県鳥でもあります。頭部から首にかけての鮮やかな瑠璃色と胸から腹の赤褐色のツートンカラーが美しく、「奄美の青い宝石」とも称されます。ヒマラヤ山地のインドカケスと共通の祖先を持つとされ、かつては広い範囲に分布していた種が両端に残った遺存固有種と考えられています。過去には羽毛を帽子の飾りにするための乱獲や外来種マングースによる捕食で個体数が激減しましたが、保護活動が功を奏し、2006年には環境省レッドリストの絶滅危惧種から解除されました。
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分類
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英名Lidth's Jay
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大きさ全長約38cm
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羽の色
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寿命野生下で約5-10年(カラス科の鳥類としては比較的短命と推定される)
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保全状況指定なし
奄美大島、加計呂麻島、請島に留鳥として生息する日本固有種です。鹿児島県の県鳥に指定されています。繁殖個体数は少なくとも1000個体と推定されています。
スダジイやタブノキなどの常緑広葉樹林に多く生息しています。繁殖期以外は農耕地や人家周辺にも現れ、集落から奥深い森林まで幅広い環境で見られます。マングローブ林に姿を見せることもあります。
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行動・習性
繁殖期以外は5〜6羽の小群で樹上生活をしています。繁殖期にはペアで行動します。翼をゆっくり羽ばたかせ、波形の軌道を描いて飛翔します。地上でもよく活動し、両脚を揃えて跳ねるように歩きます。サシバやハシブトガラスに対してモビング行動を見せることがあります。まれに数羽で協力して畑のサツマイモを掘り出して食べることもあります。
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さえずり
「ギャー、ギャー」「ジャァー」「ガーァ」「ジェー」などカラスに似た騒がしい声を出します。機嫌が良い時には「クィー、クィー」と鳴き、他にも「ピュルピュル」「プツプツ」「ヒョウシャ」など多彩な鳴き声のレパートリーを持っています。見た目の美しさに反して声は野太く、そのギャップも魅力の一つです。
雑食性で、シイやカシのドングリを特に好みます。スダジイの実が繁殖成績を大きく左右することが知られています。その他に昆虫、クモ、ヤモリなどの爬虫類、果実、種子なども食べます。種子を貯蔵する習性があり、森林の種子散布にも貢献しています。
繁殖期は2月〜5月で、営巣活動は12月頃から始まります。主に樹洞や幹の隙間に小枝や蔓、コケ類などで椀状の巣を作ります。岩の隙間、天井裏、巣箱にも営巣し、近年は人工建造物の利用も増えています。1巣卵数は3〜7個(多くは3〜4個)で、卵は薄い水色です。抱卵期間は約18日、巣立ちまで約25日です。雌雄ともに抱卵と育雛を行います。
絶滅の危機から「奇跡の復活」を遂げた青い宝石
一度レッドリスト(絶滅危惧種)に入った生物が、そこから抜け出すことは極めて稀です。
しかし、鹿児島県・奄美大島などに生息する「青い宝石」ことルリカケスは、2006年に環境省レッドリストの絶滅危惧種から除外されるという「奇跡の復活」を遂げました。
彼らを絶滅の淵に追いやった最大の天敵、それは人間が持ち込んだマングースでした。
もともとマングースは「ハブを退治するため」に放たれたのですが、ここに人間たちの大きな誤算がありました。
ハブは「夜行性」、マングースは「昼行性」。
生活時間が違うため両者は出会わず、マングースはハブではなく、こともあろうにルリカケスの巣にある「卵」や「ヒナ」を狙って食べ始めたのです。
このミスを挽回するため、地元では「マングースバスターズ」と呼ばれる専門チームが結成され、徹底的な捕獲作戦が行われました。
その成果もあり、ルリカケスの個体数は劇的に回復。
そして2024年、ついにマングースの「根絶」が宣言されました。
この復活劇は、人間が一度壊してしまった生態系を、執念で取り戻した数少ない成功例として語られています。