ヤマドリ [山鳥]
Syrmaticus soemmerringii
万葉の歌に詠まれた日本固有の美鳥
ヤマドリは、キジ目キジ科に属する日本固有種で、本州・四国・九州の山地の森林にのみ生息しています。オスは長く美しい尾羽を持ち、万葉集の柿本人麻呂の歌「あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む」に詠まれるなど、古くから日本の文化や文学に深く関わってきた鳥です。地域によって5つの亜種に分かれ、南に行くほど体色の赤味が強くなる特徴があります。警戒心が非常に強く、暗い森の中でひっそりと暮らしているため、観察の機会は少ない鳥です。
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分類
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英名Copper Pheasant
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大きさ全長約90cm
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羽の色
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寿命野生下で約5-8年
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保全状況環境省レッドリストでは「準絶滅危惧(NT)」に指定
日本固有種で、本州、四国、九州の山地に留鳥として分布しています。地域によってヤマドリ、シコクヤマドリ、ウスアカヤマドリ、アカヤマドリ、コシジロヤマドリの5亜種に分けられます。
標高1500メートル以下の山地の森林に生息し、特にスギやヒノキの針葉樹林や、下生えにシダ植物が繁茂した薄暗い環境を好みます。渓流周辺の沢筋やその林縁部も好んで利用します。
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行動・習性
主に地上で生活し、歩きながら地面をついばんで餌を探します。非常に警戒心が強く、人が近づくとすぐに走って逃げます。夜は樹上で眠ります。非繁殖期には雌雄別々に群れを作ることがあります。
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さえずり
普段はほとんど声を出しませんが、「ウー」「ホホホホ」といった低い声を出すことがあります。繁殖期のオスは翼を激しく羽ばたかせて「ドドドドドッ」という大きな音を出す「母衣打ち(ほろうち)」を行います。
植物食傾向の強い雑食性で、植物の葉、果実、種子、シダ類、堅果類、木の実を中心に食べます。昆虫、クモ、ミミズ、ナメクジなどの小動物も捕食し、季節によって食性が変化します。
繁殖期は3月〜6月頃で、一夫多妻の場合もあります。林の草むらや木の根元を浅く掘り、枯れ葉を敷いた簡単な巣を作ります。7〜10個ほどの卵を産み、抱卵期間は約3週間です。ヒナは孵化後すぐに歩き始め、約2ヶ月で自立します。