トラツグミ [虎鶫]
Zoothera dauma
夜の森に響く鵺の声の正体
トラツグミは、ツグミ科に属する中型の鳥で、黄褐色に黒い鱗状の斑がある虎斑模様が名前の由来です。夜の森で「ヒョー、ヒョー」と笛のような不気味な声で鳴くため、古くから妖怪「鵺(ぬえ)」の正体とされてきました。万葉集や平家物語にも登場し、日本の文化に深く関わってきた野鳥です。地面を歩く際に体を左右に揺らす独特の「ダンス」も見どころです。
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分類
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英名Scaly Thrush
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大きさ全長約30cm
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羽の色
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寿命野生下で約3-5年
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保全状況指定なし
シベリア東南部から中国東北部、朝鮮半島、日本などで繁殖します。日本では北海道から九州まで分布し、本州以南では留鳥、北海道では夏鳥です。積雪地のものは冬季に暖地へ移動します。
丘陵地や低山の広葉樹林を好みますが、林の多い公園や庭園でも観察されることがあります。落ち葉の積もった林床で採餌します。
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行動・習性
落ち葉をかき分けながら地面を歩き、土中のミミズや昆虫を探します。2〜3歩進むと腰を左右に振って首を伸ばし周囲を警戒する独特の動きを見せます。単独で行動することが多いです。
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さえずり
繁殖期の夜間に「ヒョー、ヒョー」「ヒー、ヒー」と口笛のような寂しげな声でさえずります。この声が鵺の伝説の元になりました。地鳴きは「グッグッ」「シー」などです。
雑食性で、主にミミズ、昆虫類、クモなどを食べます。冬季には木の実も食べます。落ち葉をひっくり返して土中の餌を探します。
繁殖期は4月〜7月。木の枝の上にコケや枯れ枝で椀状の巣を作り、3〜5個の淡青色に赤褐色の斑点がある卵を産みます。抱卵期間は約14日、雛は14〜15日で巣立ちます。
夜に響く不気味な口笛… 妖怪「鵺(ぬえ)」の正体は、実はこの鳥だった?
深夜の森で、「ヒィー、ヒィー」という哀しげな口笛のような音が聞こえたら、それは伝説の妖怪「鵺(ぬえ)」…ではなく、トラツグミの仕業かもしれません。
平安時代、この不気味な鳴き声は「凶兆」として恐れられていました。
『平家物語』には、源頼政が御所を脅かす怪物を退治する話がありますが、その怪物は「サルの顔、タヌキの胴、トラの手足、ヘビの尾」を持ち、「鳴き声は鵺(トラツグミ)に似ていた」と記されています。
実は、もともと「鵺」という言葉はこの鳥(トラツグミ)のことを指していました。
しかし、頼政が退治した正体不明の怪物が「鵺のような声で鳴く」と言われたため、いつの間にか怪物の名前そのものが「鵺」と呼ばれるようになってしまったのです。
「妖怪の声」と恐れられたトラツグミですが、その姿は黄褐色と黒のウロコ模様が美しい、つぶらな瞳の鳥です。
見た目と声のギャップが生んだ、なんとも不憫な伝説と言えるでしょう。