カラスバト [烏鳩]
Columba janthina
離島の森に響く神秘的な声の主
カラスバトは、ハト目ハト科に属する大型のハトで、国の天然記念物に指定されています。和名はカラスのように全身が黒いことに由来しますが、よく見ると頭部や頸には美しい金属光沢があります。日本の離島の常緑広葉樹林に生息し、ハト科の中では例外的に警戒心が非常に強く、島に長年住んでいても全身を見る機会は稀です。独特の低く響く鳴き声だけが森に響くことが多く、「姿は見えないが声は聞こえる」神秘的な鳥として知られています。
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分類
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英名Japanese Wood Pigeon
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大きさ全長約40cm
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体重550g
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羽の色
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寿命野生下で約10-15年
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保全状況環境省レッドリストでは「準絶滅危惧(NT)」に指定
京都府冠島以南の本州および九州周辺の離島、伊豆諸島、奄美諸島、沖縄諸島、韓国の一部の離島に留鳥として分布します。亜種アカガシラカラスバトは小笠原諸島に、亜種ヨナグニカラスバトは先島諸島に生息します。
海岸や離島にある常緑広葉樹林、特にシイ、カシ、タブノキ、ヤブツバキなどがよく茂った森林に生息します。谷間の密生した樹林を好み、人目につきにくい場所で生活しています。
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行動・習性
ゆっくりとした飛翔と滑空を繰り返しながら飛びます。繁殖期にはバタバタと強く羽ばたいて滑空する求愛飛翔を行います。非常に警戒心が強く、人が近づくとすぐに飛び去ってしまいます。樹上でも地上でも採食を行います。
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さえずり
樹上で「ウッ、ウー、ウッ、ウー」「グルルッ、ウーウウーッ」「モーウ、モーウ」と低く押し殺したような独特の声で鳴きます。5月から6月頃に最も盛んに鳴きます。飛翔中に「ガルルルー」と威嚇するような声を出すこともあります。
植物食傾向の強い雑食性で、シイ、タブノキ、ツバキ、クロガネモチなどの果実や種子、花、ミミズなどを食べます。特にツバキの種子を好んで採食します。
繁殖期は2〜9月と長期にわたります。樹上や岩の上、樹洞などに木の枝を組み合わせた巣を作り、1回に1個の卵を産みます。宮崎県の離島などでは地上営巣も確認されています。