イヌワシ [犬鷲]
Aquila chrysaetos
山岳の王者として君臨する日本最大級の猛禽類
日本の山岳地帯の生態系の頂点に君臨する大型の猛禽類で、1965年に国の天然記念物に指定されました。英名「Golden Eagle」は後頭部の金色の羽毛に由来し、その威風堂々とした姿は古来より権力の象徴とされてきました。日本に生息する亜種ニホンイヌワシは世界の5亜種の中で最も小型ですが、翼を広げると2mを超え、約100kgという強力な握力で獲物を仕留めます。絶滅が危惧されており、全国で約500羽ほどしかいないと推定されています。
動画
この動画ではイヌワシの自然な行動や鳴き声を観察できます。
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分類
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英名Golden Eagle
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大きさ全長約85cm
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体重4000g
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羽の色
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寿命野生下で約20-30年
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保全状況環境省レッドリストでは「絶滅危惧IB類(EN)」に指定
北海道から九州の山岳地帯に生息し、留鳥として周年見られます。東北地方から中部地方の日本海側に多く、四国や九州ではごくわずかです。世界的にはヨーロッパ、アジア、北アメリカの北部に広く分布しています。
山岳地帯の断崖や急斜面がある環境に生息します。狩りには見通しの良い草原や崖地、伐採地などの開けた空間が必要で、森林に覆われた場所では獲物を捕らえにくくなります。
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行動・習性
翼をゆるいV字型に保ってグライダーのように滑空し、上空から獲物を探します。獲物を見つけると急降下して鋭い鉤爪で捕らえます。つがいは約60平方キロメートルもの広いテリトリーを持ち、秋にはディスプレイ飛行で絆を確認します。
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さえずり
「ピィーウ」「ポィョー」という澄んだ声で鳴きます。繁殖期のディスプレイ飛行時にはより頻繁に鳴き声を発します。普段はあまり鳴かない静かな鳥です。
主にノウサギ、ヤマドリ、アオダイショウなどを捕食します。開けた場所で獲物を見つけて急降下し、強力な脚と鋭い鉤爪で仕留めます。時にはキツネやシカの幼獣など大型の獲物を襲うこともあります。
繁殖期は秋から翌春にかけて。断崖の岩棚や大木に枯れ枝を積み重ねた大きな巣を作り、通常2個の卵を産みます。抱卵期間は約42日。先に孵化した雛が後から孵化した雛を攻撃する「兄弟殺し」が知られています。雛は約80日で巣立ちます。